レッド・クリフ 中国映画 ジョン・ウー監督 金城武、トニー・レオン、チャン・フォンイー等 [映画]

通俗小説の三国志にハリウッド流の男女関係を味付けしたような映画。ただし、戦闘場面は確かに迫力あり、蜀と呉の連合軍の作戦が成功する場面は素晴らしい。これは安い人件費で、中国軍の協力を得られたからであろう。欧米や日本ならCGを駆使しない限りこのような大勢の人間が統一された動きをする戦闘場面は作れないだろう。しかし、こんな映画がヒットするのだ。私にはポアロが暴く人間の奥底深くにある嫉妬の方が面白いが。
ここでは悪役に描かれている魏の曹操(チャン・フォンイー)の実像はもっとすぐれた人物ではなかったかと、陳舜臣著「中国五千年」のその場面をもう一度読み直した。それによると劉備玄徳は馬商人の用心棒で、その頃知り合った仲間が関羽や張飛らしい。しかも彼は曹操の客分であったこともあった。ただ、彼は信義に厚い人物だったらしく、後に諸葛孔明の制止にもかかわらず関羽の弔い合戦に出て大敗している。劉備、関羽、張飛が野戦の司令官であるのに対し、諸葛孔明はすぐれた軍師であり、彼を参謀に迎えることがなければ劉備は諸将の間をさまよう客分にとどまり、魏、呉、蜀の三国鼎立時代を迎えることが出来なかったろうとのこと。
この映画は有名な赤壁の戦い(208年)を描いている。諸葛孔明(金城武)はもともと大国の魏(曹操)に対して蜀と呉が連合して当たるべきだとの考えをもっており、その実戦としての赤壁の戦いで蜀と呉の連合軍(3万)が曹操(20万)に大勝利した史実に基づく。孔明とともに戦う呉の知将に周瑜(トニー・レオン)を配するが、女の話は全く史実には出てこない。
第二部は予告編によると、連合軍は水軍でもその作戦(東南からの風と火攻め)によって大勝利するが、男同士の間で不和が生じ、それを女の愛が救うそうだ。戦いの場面は面白そうで見たい気もするが、男同士の不和が女の愛によってまあまあになる場面は見たくもない。
結局蜀は263年、魏は265年、呉は280年に滅ぼされ、後漢時代末の黄巾の乱(紀元184年)以降隋の統一(同589年)までの約400年間中国は分裂を続ける。







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