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萩を揺らす雨   吉永南央  文春文庫 [読書]

      萩を揺らす.jpg

 軽く読めて、面白かった。こういうサスペンスは読むのが楽しい。読書の息抜きといっていい。オール読物推理小説新人賞を受けた「紅雲町のお草」は今話題になっている子供への虐待だ。それを近所の噂話や同級生の話から察したお草が救うお話だ。
 「クワバラ、クワバラ」は10万円の未収金をその背景にある事実から回収する。
  
「0と1の間」は草がパソコンを習っている男の友情(というか恋愛)と居場所の見つけられない老人のお話
 「悪い男」は昔、一人の才能ある女の子を野球の好きな男子生徒が救う。現在、少年は少しぐれ、彼女は有名なピアニストになっている。彼女が夫と故郷で共演したCDをその生徒は受け取らず、お草さんのコレクションになり、彼女は時々それを朝、店内でながす。
 
「萩を揺らす雨」は草が密かに恋していた男が、実は別の女性と深い仲で、子供まで作った仲と知る。以後他の男と結婚した女性のほうからは一切連絡がないため、草は二人の間の連絡役を勤めていた。その女が死ぬ。男は二人の間に出来た子供を引き取ろうとするが、子供は嫌だという。草は男に代わって、女の葬儀に出席した後ちょっとした事件に巻き込まれるが、逆にその息子への信頼感がます。
 
背が高いって、いいものだ。女のほうから寄ってくる。私にはそんな経験が一切無い。自分の方から惚れたことは何度もあるが。


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弱い日本の強い円  佐々木融    日経プレミアシリーズ [読書]

      弱い日本の強い円.jpg 

この本に書かれている言葉通り、為替相場が国力や経済力を反映するという私の考え方自体が明らかに間違っていた(p.19)。為替相場の方向性を決めているのは国力や人口増減などではなく、各国のインフレ率の差。つまりある一定期間(ただし15年以上の長期間)でみて、インフレ率の最も低かった国の通貨が最も強い(p.56 )。短期的には利子率の差である。そしてこの本の著者はいう、日本にとって最も重要なのは米ドルではなくて、韓国ウォンであると。

 世界全体の景気が良くなれば、安い金利で今まで預けていた円を売って、新しい国に融資しようとする。それだけのリスクをおかしても良いと考える。為替のディーリング・ルームで働いている人は、大きく分けると、「セールス」と「トレーダー」になり、セールスは輸出企業等の顧客折衝にあたり、トレーダーはセールスの注文を受けてインターバンク市場のレートを見ながら即座にドルの買値や売値を示す。
 為替市場は参加者が多種多様で、債券市場や株式市場などと比較してその規模が圧倒的に大きく、操作をするのが最も困難な市場であり、分析を行うのも難しい(p.71)。
 
経済規模1位の米国と3位の日本の通貨の交換レートである米ドル/円の交換レートは世界全体の為替相場の中で14%を占め、そのシェアは米ドル、ユーロの28%についで高い。2010年4月のフォワードや為替スワップ取引を除く1日当たりの一般的為替取引残高は約1.5兆ドル(約140兆円 1ドル93.50円で計算)になる(p.72)。スポット取引のどちらかに米ドルが含まれている取引は全体の80%にもなり、これが「基軸通貨」ということになる。
 
よくヘッジ・ファンドが投機的な動きで、悪者扱いされる。そのヘッジ・ファンドの担当者は様々であるが、一般論としては、「勉強熱心で、いい人」が多い(p.139)し、ヘッジ・ファンドの一つや二つで、大きな市場が、一定方向に、一定期間動くことは無い。ヘッジ・ファンドの動きの規制も同じである。マーケットに対し、中途半端な知識しかない当局者が介入したところで、その効果が無いことは過去の歴史で実証済みである。
 
日本とニュージーランドを比較すると、日本は資金の出し手、ニュージーランドは受けて、日本は世界第2位の経常黒字国、ニュージーランドは赤字国、日本は世界最大の債権国、ニュージーランドは債務国である。日本が458兆円の資産を海外に保有しており、経常赤字国になる道のりは非常に遠い(p.132)。日本は世界全体からみても豊かになったのである。従って日本の景気が良くなると円安になる、「日経平均株価上昇=円安」である。
 
日本の貿易収支が黒字であるため、円安の方が日本にとってメリットがあるのは事実であり、その意味で真の競争相手は韓国企業である。しかし、原料を仕入れて加工して売る企業にとって円高はむしろ企業収益にとって良い方向にはたらくのではないか。むしろそのような体質の企業こそ育てるべき。
 
この本を読んでいて感じたことはいかに民間が苦労し、世界全体の中で核たる地位を占めているのに対し、政府を初めとする公共部門のだらしなさだ。民間の上前をはねるだけだ。民間を助けるためということで、国を利用するだけ利用し、国家としての自覚も何も無い。要するに自分達が選挙で選ばれるためにはばら撒きであろうと、将来に大きな負坦を残そうと知ったことじゃあない。将来に夢を残すことなど頭からない。政府の赤字は国債だけだと思っていたら、外為収支で、クーポンレートを毎年の財源に繰り入れ使ってしまい、外貨を買ったことによる大きな負債があることなど全く知らなかった。25年間臨時増税する復興財源などお笑い種だ。25年後それすら臨時増税と言うことも忘れ、それを一般財源に繰り入れることなど火を見るより明らかだ。
 
どれもこれも老い先短い老人が国を支配する典型だ。いつまで権力の座にしがみつく気か。第二次大戦後の日本のように早く若い人々に権力を渡すべきではないか。年よりは引退あるのみ。若い人から相談を受けたときにのみ自分の意見を言えばよい。

 

 


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橋下大阪市長を皆で応援しよう [犬]

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9日午後615分からのMSBテレビを途中から見た。大八木キャスターなんて何を言っているんだと思う。日本が今借金で危機的状態にあることが分かっているのかと思いたくなる。テレビのキャスターは、ゲストを大体自分のペースに引き込んでとくとくとしているのがいつもの司会のパターンか知れないが、橋下さんのいうことを逆らってばかりいて、実際日本のことをどう考えているのか。
 私は日本人で、唯一日本の将来を考え、若者達の味方となって、既得権ばかりを主張する人種と戦っている政治家だと思う。石原慎太郎が橋下さんの味方をし、その政治手法をとろうとしていることに喝采をおくりたい。
  労働組合なんて既得権の塊のようなもので、唾棄すべき存在だ。非公開の対談を提案すること自体何を言っているんだと思う。どうせ3万人の組合員の票や、選挙協力を言い出すのに決まっている。これが労働者の代表か。身内が可愛いだけではないか。前市長の平松邦夫、その前の関淳一、磯村隆之にしても皆に特権を与えることで、市長をつとめただけではないか。組合なんて糞食らえだ。
 私は橋下さんが選挙に勝つことを望んでいたが、知事、市長とも大阪維新の会になって本当に良かったし、次の総選挙では「みんなの党」に入れる。
 
総選挙はおそらく今の衆議員の任期ぎりぎりになるだろう。民主党も一旦手にした権力基盤をそう簡単には手放さないと思うからだ。今の政治家を見渡すと未だに新幹線の建設を言ったり、消費税の増税反対を主張している。皆よっぽど落選が怖く、110日の朝日新聞(「日本の自殺}、全く遅すぎるが)ではないが、国を憂えるどころではないのだろう。
 も一つぜひ言っておきたい。橋下市長の暗殺計画があるようだ。ケネディーではないが、彼の暗殺は何としても止めるべきだろう。


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日本人なら知っておきたいい日本文学  蛇蔵&海野凪子 著 幻冬舎 [読書]

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 日本のおそらく代表的な文学作品だろうが、その出来た時期と経緯、内容の概略がほぼ分かった気がする。高校時代、枕草子や徒然草等の原文は一部をあたりこそすれ、その全体の概要などさっぱりだったことを思えば少し賢くなった気がする。特に最後の文学年表はありがたい。
 
枕草子の作者は源氏物語の著者をはじめ多くの人から悪口を言われたそうだが、p.93に徒然草の作者兼好が「愚かな人は他人が賢いことを望みません」とあり、まさに私の意を得ている。源氏物語の作者が愚かとは口が裂けても言えないが、私は源氏物語をただの一行も読んだことが無い。読もうとしても、古文が難しすぎて読めないのが現状だが。
 
ただこの漫画に登場するやからは現代の目からみて異常であり、その点を明確に指摘しており、納得できる。だからこの本が売れるのかな。


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 東京タワー,オカンとボクと、時々オトン [ビデオ]

 

     東京タワー、オカンとボク、時々オトン.jpg

 映画で見損ねて悔しく思っていたので、即見た。最初は映画館へ行かなくて良かったと思っていたが、樹木希林とオダギリジョーが出るようになってから俄然面白くなった。親子特に母親とその子供の愛情物語だ。そこへ題名のごとく親父(小林薫)が時々登場する。両親とも子供を虐待するのでなく、可愛がり、その愛情が見ている私達に伝わる。
 貧乏ながら、子供を東京の大学へ行かせ、その仕送りに母親は精魂傾ける。子供は親の苦労を知りつつも、ついつい遊んでしまい、常に金がなく、ピーピー言っている。しかし、親友を得る。そして絵の才能が生かせたことから、借金も返し、母親を引き取って東京で暮らす。親父も時々顔を出す。
 そんな中、母親は癌になり、窓から東京タワーの見える病室に入院する。そして息子や親父の見守る中死ぬ。息子と別れたその恋人(松たか子)は母親の位牌とともに東京タワーに上り、寄りを戻す。終り。

 


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米国製エリートは本当にすごいのか?  佐々木紀彦著 東洋経済新報社 [読書]

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 アメリカは今や世界で唯一の超大国であるが、その人材の層は一体どうなっているのか。特に毎年発表されるノーベル賞受賞者には必ずと言っていいほどアメリカ人の名前がある。これほど次から次へと人材を発表できる国は米国人以外ないようだ。日本人でも今までノーベル賞を受賞したのは18人、韓国人にいたっては金大中氏以外0だ。日本人でもアメリカにわたってノーベル賞を受賞した人は多い。それだけ自由な研究環境にあり、世界中から新しい頭脳を耐えず呼び込んでいる。私がこの本を読んだのはその背景を知りたいためだ。
   アングロサクソンという民族の優秀性だ。米国人は経済エリート重視型で、お金が大好きな民族である(p.80)。
 
このことが合理性を好み、最終的には大局的な視野にたって間違いないことになるのでは。中国人は完全な「政治エリート優位型」の国である(p.84)。日本人は過去の歴史を知識として記憶し、現代の問題はおざなりだ。政治的に中立を保つとか何とか言っている。アメリカ人は現代の問題を徹底的に議論することで、現在の地球上の問題を明確に把握する。
 
これに対し、日本人はむしろ封建社会を経験したことで、富よりもむしろ出自なり、その人のもつ価値観を重視する。米国大統領がクリントン45歳、オバマ47歳なのに対し、日本の首相の高齢化を見てみよ。何でも議論し、結果のまとまった段階で親分に上げろでは誰が責任を負うのかはっきりしないし、まあまあとなる。今の日本の官僚組織はその典型だ。三軍の長たる大統領が決断し、その責任を負うものであり、国民は皆して自分達の選んだ大統領に従う。そして戦争に勝つために、あらゆる智謀戦略を図る。これこそ本当の民主主義だ。
 このままでは日本がだめになる。国会議員の自分達が当選するためには、将来の世代にまで負担を押し付ける主張の浅ましさ。誰が自分達の孫や、地球の将来を考えるのか。それこそ政治家の役目ではないか。お先真っ暗だ。
 英語の勉強法やその主張には全くといっていいほど感服する。私がもっともっと若ければ、仏語など悠々と話し、フランス人としてフランスに住みたいのだが。


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新藤兼人・私の十本  立花珠樹著 共同通信社 [読書]

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 最初に新藤兼人と乙羽信子の写真を見て驚いた。乙羽信子の目がきらきらし、うれしそうなのと比較して新藤兼人の背が低く、不恰好なことよ(自分に似ている)。こんな人に惚れ、28年間同棲し、17年間夫婦で居たのかと思うと、二人の育った環境が似ていたとしか言いようがない。永山則夫は極貧で、母親に捨てられた経験をもつのに対し、新藤は金持ちのぼんぼんとして育ち、母親から可愛がられて5歳まで育った。乙羽も里子に出された経験を持つ。3歳児までにその子の性格が決まるという。小さい頃、愛情一杯で育ち、その後言い知れぬ苦労をしたという経験では同じだ。
 私はこの二人の映画は「裸の島」と「鬼婆」を小学生か、中学生の頃見た覚えがかすかにあるが、当時芸術性の高さなど分かるはずもなく、それ以来新藤兼人と乙羽信子の作品は子供の分からない映画と思い、敬遠してきた。今思えば残念な気がする。特に「ある映画監督の生涯」「午後の遺言状」「一枚のハガキ」を見たいし、「裸の島」「鬼婆」はもう一度見たい。
 
20年間、乙羽さんとの関係を知りながら、結婚生活を続け、子供が成人したとき、やっと離婚したという2番目の奥さん(離婚3年後死ぬ)、乙羽さんともども今時のすぐ離婚する女の人ではとても考えられないことだ。
 
ここで書かれている文章で私が最も共感したのは新藤兼人は自分を肯定的にみて、あくまでも「私」にこだわり続けたということだ。自分に対する絶対の自信、他者の思惑など気にしないで自分の欲するものを得るために、挫折にあっても自分流を続けられるか。
 第1章 「愛妻物語」。最初の妻、久慈孝子さんのこと。「元禄忠臣蔵」のシナリオを溝口健二監督にこれはシナリオでないと言われたのを、久慈さんからまた書けばいいといわれたこと。そして1年間かけて『近代劇全集』43巻を読んだこと。久慈さんの役は勿論乙羽さん。
 
2章「原爆の子」。自分の故郷広島に原爆が落とされ、廃墟になった。そして大映をやめ、独立プロダクション「近代映画協会」を作った。
 
3章「裸の島」。殿山泰司と乙羽信子と子供二人の映画。ただ水を他の島からは運んで来て畑に注ぐ。長男が死ぬ。その悲しみ。それだけの映画だが、映像が素晴らしく、ゆったりと時間が流れる。
 
4章「人間」。小さな荷役船で出発した4人の物語。遭難し、食べ物が無くなり、相手を殺して食おうとする人間の獣性が剥き出しになる。
 
5章「鬼婆」。「人間」でその獣性を描いたが、今度は人間の性を赤裸々に問題にした。
 
6章「裸の19歳」。4人を殺し、死刑になった19歳の少年、永山則夫の生い立ち。それはまさに極貧の生活であり、中学を卒業した永山の話す青森弁は東京では全く通じなかった。社会の責任があるのではないか。モノクロで撮られた。
 
7章「ある映画監督の生涯」。入江たか子さんが突如杉村春子に変えられたことが記憶に残っている。
 
8章「落葉樹」。42歳のとき新藤監督を生んでくれ、彼が5歳のとき、家が没落し、蔵の中で生活し、苦労しただけの自分の母親。
 
9章「午後の遺言状」。乙羽は山荘の管理人をしている。そこへ雇用主の杉村春子がやってくる。また認知症を患う朝霧鏡子とその夫もやってくるが、その後夫婦は自殺する。
 
現実には乙羽は70歳で癌を患っており、映画を撮り終えて3ヵ月後死に、また杉村、朝霧、その夫役の観世栄夫も死ぬ。映画は空前のヒットをする。
 
10章「一枚のハガキ」。戦死した戦友から預かった一枚のハガキをその妻に届けに行く物語。新藤監督が戦友から見せてもらった一枚のハガキ、「今日はお祭りですが、あなたがいらっしゃらないので、何の風情もありません」による。


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老いの歌~新しく生きる時間へ~ 小高賢著 岩波新書 [読書]

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 年取ると、家にずっと居る。何かしなくてはと思うが、身体が言うことをきかない。かく言う私もその口だ。私は囲碁と読書を趣味にしているが、新聞や本を読み、時には電話する。これが眼鏡がないとこんなに厄介なものだとは思わなんだ。人と電話していても字が読めないで、眼鏡を探し、そこで待ってもらったりして、いらいらする。昔ならすいと何の苦労も無く見れたのに、反応が遅くなくなり、ツーカーの受け答えが出来ない。
 斉藤茂吉やその他の有名な歌人も、やはり老いによる衰えは隠せない。ましてや一般歌人においておや。歌は確かに私中心の出来事をいかに詠むかと思う。しかも自己肯定的である。私はこの短歌の特徴を生かし、あくまで自己を述べる手段として、下手でも自分なりに作り続ければ良いと思う。そしてある人には素晴らしい感動を与えることも可能だし、納得させることも出来る。何もしないでテレビばかりを見続けるより何ぼ幸せか知れない。そのためには若い頃からの鍛錬が大切だと思うが。
 
私も短歌を作ることは下手過ぎて出来ないが、朝日俳壇歌壇で、感動することは出来る。また読書や見た映画の感想文をBlogに書くことで自分の思いをぶっつけている。それは結局自分のためだ。難しく考えることなく、趣味の一環と考えればいいのでは
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駅舎―日本の風景Ⅲ― 光村推古書院  [読書]

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 同じ写真集の古民家や道、日本の四季よりもこの写真集を買った。2008年5月出版で、あるかどうか分からなかったが、今もまだあるということで即買った。勿論朝日新聞の書評にも掲載されていたが、何故駅舎なのか理由は分からない。ただ無性に懐かしさが込み上げてきた。
 やはりどれをみても「ほう、こんな姿や歴史もあるか」といった流れだ。昭和39年4月最後に蒸気機関車に乗って、夜行で東京へ行った、そんな青春の思い出と重なるのだろう。 今の学生で自分の小学校の頃や中学生、あるいは高校時代を懐かしく思い出すことがあるのだろうか。受験勉強一筋で思い出など持つ余裕は無かったのではないか。
 どの駅舎を見ても、自然と一体化し、できればそんな中で、人から忘れられながらも、桜や緑に囲まれて、自分自身は満足で、一生を終えたいような気がする。


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天の方舟   服部真澄著  講談社 [読書]

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 事実かどうか分からないが、囲碁の合間に読むのが楽しかった。この感想も一切本の中味を見ることなく書けた。
 
貧乏な女性がODAのからくりを知り、幸いなことにいい大学の卒業生であったことで、コンサル業界の大手に就職する。
 日本では官僚への贈収賄などはマスコミや世間から糾弾されるが、発展途上国向けODAがらみの案件だと相手国ではそれが常識とまではいかなくても、法整備の不備もあって当然の事と考えられている。特にインフラ絡みだと巨額の支援金が出る。そこを利用して相手国の高級官僚に大きな金額の賄賂を贈り、仕事を取る。当然、国内の担当者、いや社長自身もあの手この手を使って、そのおこぼれ(にしては巨額な)にあづかる。
 
彼女は、自分の勤めるコンサル会社とタッグを組むゼネコン担当者の協力を得てヴェトナム駐在員所長にまで栄進する。幾度かの危機も日本側の事なかれ主義にも助けられ、貧乏な女性はついに40歳代にしてそのコンサル会社の重役にまでなる。
 
彼女はヴェトナムでの橋の崩落事故で、捜査機関の尋問を受け、世間を大きく騒がせるが、執行猶予付きの判決にとどまる。
 
今はコンサル会社を退職し、既に十分金を貯め、子供まで生んでいる。世間からも忘れられ、幸せの絶頂にいるときに、ある日、彼女は突然身元の分からない外国人に殺される。そこが分からない。何故か、死んだ外国人は十分な補償をうけ、満足しており、誰もが橋の崩落事故のことは語りたがらないのに。
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炭鉱生きる―地の底の人生記録―  山本作兵衛著 [読書]

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 この本を知ったのは勿論朝日新聞の書評だが、それが書評欄に載った当日のNHK日曜美術館で紹介された。時代が過去の日本を見直す時期になっているのかもしれない。解説に出ていた永末十四雄 田川市立図書館長も山本さんが生きていたらどれほど喜んだろうと残念がっていた

 
まず驚いたのはこれだけ悲惨な経験をしておりながら、著者が92歳まで長生きしたことだ。この本にも書かれているが、事故、過酷な労働で炭鉱労働者は皆、早死にすると言う。今なら労働基準法違反で経営者は片っ端から逮捕されるだろう。掃除夫だからといって捨てたもんじゃない、ここに描かれていることに比べれば天国のような生活だ。
 ただひたすらに正確にありのままを記すことのみを心掛け、百年の後、孫やその孫達がこんなみじめな生活もあったのかと心から思えるような社会であって欲しい(p.118)とある。私はこの本によって石油に代わりに石炭をといった考え方がいかに甘かったか思い知らされた。重労働をさせられた馬も人間も気の毒としか言いようがない。
 長い間坑内で働いていた馬が無事に抗外にあがってきて夕闇の風に喜びいなないているさまをみて、どんな冷血漢でも思わずまぶたをしばたたいたものです、ということが書かれている(p111)。
 リンチのひどさ、給料も金でなく、その山だけでしか通じない切符でしかくれない。
これが第2次世界大戦中も続いたという。こんな亭主についていく女はどうしたろう。
 
ただ絵に描かれている字を読むのには苦労した。天眼鏡の助けなしではこの絵は読めなかった。


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FBI美術捜査官   ロバート・K.ウィットマン ジョン・シフマン著 土屋昇・匝瑳玲子訳  柏書房 [読書]

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著者の母親が日本人だとは良いことだ。FBIに応募し、運よく30代で合格した著者は美術犯罪の専門家として潜入捜査官となり、盗まれた数々の名画や遺物を取り戻す。彼の関心事は盗まれた価値あるものを取り戻すことにある。それは国家のためになり、一般受けすることではあるが、FBIの主流たる殺人や麻薬、テロ事件の犯人を逮捕することとは別次元である。彼が在職した時代は上司や同僚の理解もあって、それなりに働きやすい環境であったが、組織の肥大化と整備にともない官僚主義が幅を利かすようになる。
  自分の出世が第一であり、そのためには上司や同僚と仲良く仕事をしていかねばならない。上司が認めない手柄など立てても仕様が無い。
  その通り、だから彼は年金生活者となり、家族を大事にするようになった。


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たばこ屋の娘   松本正彦短編集   青林工藝舎 [読書]

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  この本が朝日新聞の書評欄に掲載されたのが平成17年3月27日、以降売り切れや無かったりで、ふと先日Amazonをパソコンで叩くと一冊だけ在庫があった。私がコミックを読み出したのもこの本というか、書評による。昔の貧乏ながら、ユーモアと謙虚さがあり、懐かしく即買った。
後ろの解説を読むと、正彦氏は私より6つも高齢であるという。病気らしく、息子さんの知彦氏を通じてインタヴューしたそうだが、切にご回復を願っている。こんな日本全国貧しい時代もあり、そのなかで、金よりもハートをキュンとさせる都会の庶民生活があったことを忘れてはならないだろう。それに若干のエロチシズム(これは手塚治虫にはない)とユーモアがある
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犯罪   フェルディナント・フォン・シーラッハ著 酒寄進一訳  東京創元社 [読書]

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 まさに事実は小説より奇なりだ。小説家の創作した話より、はるかに人情や興味ある事実があり、人生の奥深さを感じさせる。
 
第1章 フェーナー氏が女房を殺した理由も分かる。離婚しようにも出来なかったのだ。
 
第2章 ヴァーグナーやボコルを、手引した掃除婦の姉を殺し、オズジャン、サミール、マノリスの3人は謝ってきたせいかどうか許すタナタ氏。
 
第3章 タックラー一家の悲劇。
 
第4章 犯罪者一家に生まれたカリムの頭の良さと誠実。
 
第5章 イリーナとカレの幸運。殺されたと思った男は実は心臓麻痺で死んだのだ。
 第6章 ベイルートの難民キャンプ出身のアッバス、彼は金のために麻薬密売をやっているが、シュ
テファニーという恋人を得る。シュテファニーは彼のために売春によって金を稼いでいた。しかし、彼は嫉妬のせいで恋人と間違えて、殺人を犯す。その犯人にパーシー・ボーハイムという実業家が疑われるが、弁護士の働きにより、無罪になる。
 
第7章 ヤクザがあっという間に殺され、それが正当防衛だと認められ、プロの殺し屋が無罪放免される痛快なお話。
 
第8章 伯爵の19歳のフイリップという息子が女教師の16歳になったばかりのザビーネという娘を殺したように疑われるが、娘は無事保護され、息子は精神病院に入院させられる。
 
第9章 自分に与えられた仕事がそれまでと比べて格段に良いものであっただけに、23年間苦情を一切言わず過ごしてきたが、退職間際に展示されていた彫刻を壊す。それは博物館当局の事なかれ主義によるものであり、無罪放免。
 
第10章 両親はキチッとしており、息子を大学に行かせたいといっているが、その息子は恋人を殺す。弁護士の下りた話。

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白樫の樹の下で   青山文平著  文藝春秋   第18回松本清張賞受賞 [読書]

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 こういう何らかの賞を取る作品は面白い。この本も結構楽しく読めた。犯人は最初から分かったようなものだ。自分も巳及介かと思ったが、主人公の村上登と幼馴染で、貧しい本所南割下水界隈に住む小普請組の御家人、青木昇平だ。彼を犯人ではないかと思ったのが、彼が仁志兵輔の代わりに気の狂った浪人を一太刀で右手を、二太刀で命を絶ちながら、そのことを覚えていないと言った時だ。
下級武士であって、剣がずば抜けて出来る人という設定は藤沢周平の世界ではないか。面白いはずだ。ただ兵輔の妹、佳絵があっけなく死んでしまったのには驚いた。もっと恋の経緯が描かれるのかと思っていたが、この方が良い。
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 探偵はBARにいる   大泉洋、松田龍平、小雪等主演 [映画]

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アメリカのハードボイルド映画そっくりだ。主人公と松田龍平があんなにも痛めつけられながら、すぐに(と思える)回復するのは不可解だし、しかも大泉がウィスキーを飲む量が中途半端じゃない。私なら飲んだ翌日はしんどくて、吐き気がして、仕事などする気は全くしなかったろう。それによくもまあ、あんなに怒つかれながら生きていられるとはさすがわ、ハリウッド流のハードボイルドといわざるを得ない。タダ主人公が死なない分、安心して見ていられる。近藤京子なる謎の女が沙織だとは初めから分かったようなもので、主人公の大泉に教えてやりたいくらいだ。ことほど左様に殴られ強いのだけが取り柄の、脳足りんな探偵だ。
 
俺も背が高く、 打たれ強かったらなあと思う。


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謎とき日本近現代史   野島博之  講談社現代新書  [読書]

  謎とき日本近現代史.jpg     
 歴史を知る者としてここに書かれている問題はゆるがせに出来ないことだ。9つの問題いづれをとっても受験の参考にはならないだろう。それは記憶でなく、私達自身が真剣に考えなければならないからだ。その回答も奇をてらうことなく正面から捕らえているし、納得せざるを得ない。
 私達は今、厳しい状況にある。円高がすすみ、日本の株式市場は下落を続けている。しかも頼りとするアメリカも国防費のために債務が膨大にふくらみ、リーマンショックのあとドルが下落し、いつ売り浴びせられるか世界中から注目を浴びている。このままではアメリカも日本もそしてヨーロッパ等の先進国は将来の健全な世界経済の発展を望めなくなっている。
 
特に日本はアメリカの13兆ドルに迫る900兆円の公的債務を抱え、先進国中最低である。これまで高成長を続け、その間それを満喫し、うぬぼれるだけで、個人も企業も政府もなんら現在の姿を考えることなく、安易に過ごしてきた。その付けが今来ている。戦争以外に日本が選択することの出来た別の道を果たして考えることが出来るのか。欲望丸出しで動く現在の中国に代わって、今こそ将来の日本の姿を真剣に考え、それに向かって国民一丸となって進まなければならない。政党を育てるのも国民であることを忘れるな。頼るだけでなく、ケネディーではないが、国民一人一人が国家のために何を出来るか考えて行動に移さねばならない。


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天皇とマッカーサーのどちらが偉い?  室謙二  岩波書店 [読書]

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 日本人はアメリカが好きだ。それは野球を見ても分かる。世界中で野球がもっとも盛んなのはアメリカと日本だ。ジャズ、ジーンズ等その他にもアメリカ文化の影響は計り知れない。その豊かさに憧れたのかも。おそらく海外に住んでいる日本人で最も多いのはアメリカではないか。何故戦争をしたのか分からない。
 最後の章「同世代の脱走」で、べ平連に属していた筆者がイントレビッド号からの脱走兵4人を助け、ソ連経由スェーデンへ逃すことが書かれている。その渦中にいた筆者と各国家の官僚から見た考えに大きな違いがあるのは止むを得ない。ただ羨ましいのは脱走した4人の発言である。その4人はいづれもアメリカ独立宣言に書かれていることと、当時アメリカがしていたヴェトナム戦争との間に大きな矛盾があることを指摘していることである。教育がどこまで行き届いていたかは知らないが、彼等はそこに当時のニクソン政権の矛盾というか、建前と本音の違いを感じ、国外に逃亡している。日本人でここまで自分の意思を貫く者がいるか。筆者は憲法9条の平和宣言と自衛隊の矛盾を指摘し、そのような環境にいる自分を潔しとせず、おそらくアメリカ市民となったのだろう。
 私は憲法9条はあくまで建前論で、正義のためには軍隊も必要だと考えている一人である。本音が試されることなく、このまま静かに余生を送りたいということを大多数の日本人がそうであるように期待している。英語も出来ないし、アメリカ人に匹敵する腕力もないから。


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生物と無生物のあいだ  福岡伸一著  講談社現代新書 新書大賞、サントリー学芸賞受賞 [読書]

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 朝日新聞の書評によると、今、日本で最も売れている本として、この本や以前紹介したマーカス・チャウン著の「宇宙誕生」(251)が挙げられている。いづれも30万部以上の売り上げだそうだが、このような難しい本が現代日本で最も売れているとは日本人も大した者だと思えてくる。政治嗜好から伺える、何でも政府で、負担は一切嫌、一旦取得した利益は梃でも離さない、後代に負担をかけ続けることになっても一切関係ないと言った指向からはとても信じられない。NHKテレビでも言っていたが政党政治も私達が育てていかねばならないとないとしたら、政治家への投票にもこれら書物の売れ行きを反映できないものか。このままでは日本の政党政治は破綻する。
 
ナノという、1mの10億分の1の世界の話であり、人間はかくも大きく、細胞はとことん小さい世界である。それは平均値の世界であるため、原子の「平均的」なふるまいは統計学の法則に従う。そしてその精度は関係する原子の数が増せば増すほど増大する。従って、細胞に比べて人間はこのように大きくなければならないとする。ウィルスが見られる電子顕微鏡が開発されたのは1930年代以降である。野口英世が黄熱病に倒れたのは1928年、彼が生涯をかけて追った黄熱病も狂犬病もその病原体はウィルスで、野口英世は見られなかった。
 ウィルスは栄養も摂取しないし、呼吸もしない。二酸化酸素や老廃物を排泄することもない、つまり一切の代謝をしないということだ。しかし、自己増殖をする。つまり、核酸=DNAもしくはRNAで担保されている。1953年イギリス・ケンブリッジ大学にいたジェームズ・ワトソンとフランシス・クリックはDNAが二重ラセン構造をしていることを発見した。しかし、最初にDNAが二重ラセン構造をし、たった4つの要素から成り立っているのを発見したのはオズワルド・エイブリーだった。またコロンビア大学・生化学研究室のアーウィン・シャルガフは、DNAはたった4つの要素から成り立ち、ATCGのその含有量は等しいことを発見した。
 
著者は生命の元を明らかにすべく、アメリカのロックフェラー研究所で日夜研究に打ち込む。そして彼は当たりをつけるが、それがものの見事にはづれる。
 
著者は膵臓の細胞の中にある特殊な蛋白質はどのような経路で細胞の外に出るか。GP(グリコ(糖)とプロテインの略)の働きによってそれが可能と考えたが、GPが全くなくてもマウスはぴんぴんしていた。同じことを狂牛病の原因であるプリオン蛋白質についても行った人がいたが結果は同じだった。ただし、プリオン蛋白質の一部を欠損したマウスはやがて狂牛病になる。蛋白質分子の部分的な欠落や局所的な改変のほうが、分子全体の欠落よりも優位に害作用を与える(ドミナント・ネガティヴ)。ここに生命の不思議さがある。
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ペーパーバード 幸せは翼にのって  スペイン映画 エミリオ・アラゴン監督 [映画]

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 朝日新聞「銀の街から」に掲載されてから楽しみにしていてやっと見れた。火曜日で、始まる1時間前に行ったが、既に満員で、わずかに7席残っていた。
 
反乱軍の空襲で、妻と子を亡くした主人公ホルへは1年間行方が知れなかったが、内戦の終了後マドリードへ舞い戻ってくる。そこにはかっての相棒エンリケが芸人の父母を殺された子供ミゲルと一緒に待っていた。最初ホルへは自分の子供を思い出させるとしてミゲルを受け入れることを拒絶していたが、やがて 3人で生活し、舞台にたつようになる。
 
独裁者の写っていた映画を見て、ミゲルは母親が生きていること知り、探すが、ホルへ一人がその母親と会い、記憶が失われているのを知る。
 
ホルへはエンリケ、ミゲル、やはり芸人だが、独裁者の手先に暴行された少女ともどもヴェノスアイレスに逃げようとするが、ミゲルの絶叫のなか汽車に乗る瞬間撃たれて死ぬ。ホルへが死ぬのか、生きて幸せな人生をおくるのか、はらはらしながら見ていた。やはりヨーロッパ映画だ。


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